2019.7.20 教育文化研究所 長阿彌幹生wrote.

梅雨明けもしないのに台風がやってきたり・・・。地球温暖化の影響は今までの 私たちの暮らしのリズムを狂わしつつあるようです。一日も早く世界中の人たち が協力してこの難題に取り組み、子どもたちに明るい未来を贈りたいですね。

★天拝山の麓にある天拝公園にて:ツユクサ(露草)の青い花が咲き始めましたよ。7月16日撮影

なかよし情報190718:“交換条件”で子どもを育てる危うさ

次の会話は子どもとの会話でよく聴くパターンです。 「○○したら、△△をしてあげる」「■■を買ってくれたら、▲▲する」という話です。わが子 の不登校で相談に来られたXさんは、学校に行こうとしない息子さんから「パソコンを買っ てくれたら学校に行くよ」と言われて、どうしたものかと迷っているそうです。 パソコンの欲しい理由はオンラインゲームするのに便利だからだそうです。

学校の先生な ど何人かの人に相談されたそうですが、パソコンを買うと一層ゲームに夢中になり、昼夜 逆転もひどくなるから「買わない」ことを勧められたそうです。 この話を聴きながら、私の子育ての時や自分が子どもだったときに、何か交換条件を提示 して話し合うことがよくありました。「テストで100点とったら○○買ってあげるから頑張りな さい」と。以前の私はこの会話に何の問題すら感じていませんでした。

しかしこの会話は「何かをしてくれるなら、何かをしてもよい」とする考えです。「自分に見返 りがなければ何もしない」という生き方に繋がりかねません。見返りの無いものへは関心を 示さないのです。 子どもにはそういう人間になってほしくないですね。

そのためにも、「欲しい」、「したい」等々 の子どもの気持ちや考えを聴き、何度もやり取りをしながら話し合うことが大切だと思いま す。交換条件として持ち出している話は、「欲しい」、「したい」の話の本題とは別のテーマな のですから、まずは本題の子どもの気持ちを受け止めて、共に考えることからではないか と思います。

ボランティア活動をしていると、手弁当や持出しなど、自腹を切ることがしばしばです。そ れでも活動をしたいと思うのは、自らの理想や夢を使命感などを持っているからです。見 返りを求めてではありません。理想や夢の実現を目指しているからだと思います。見返り を求めるものを「理想」とか「夢」とか呼べるのでしょうか?

【宮沢賢治 作:雨にも負けず】

●雨にも負けず 風にも負けず 雪にも 夏の暑さにも負けぬ 丈夫な体をもち  ●慾はなく 決して怒らず いつも 静かに笑っている  ●一日に 玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べ  ●あらゆることを自分を勘定に入れずに  ●よく 見聞きし 分かりそして 忘れず  ●野原の 松の林の 陰の小さな 萱ぶきの 小屋にいて ●東に病気の子供あれば行って 看病してやり  ●西に疲れた母あれば行って その稲の束を負い ● 南に死にそうな人あれば行って 怖がらなくてもいいと言い  ●北に喧嘩や訴訟があれば、つまらないから やめろと言い  ●日照りの時は 涙を流し 寒さの夏は おろおろ歩き  ●みんなに 木偶坊(でくのぼう)と呼ばれ  ●褒(ほ)められもせず 苦にもされず  ●そういうものに 私はなりたい