厳しい冬もそろそろ終わりを告げようとしています。陽射しも暖かくなり、耳を澄ますと春の足音が聞こえそうですね。いかがお過ごしでしょうか。

 今月の初めに四国・丸亀市で不登校の当事者支援サポーター養成講座が開講され講師として2日間ほど行ってきました。参加された皆さんは2日間で10時間の講義を熱心に聴講されていました。福岡市でスタートしたこのサポーター養成講座が四国でも開催されたことは嬉しい限りです。

 四国からの帰途、岡山市の後楽園を訪問しました。岡山は新幹線で何度も通過している場所ですが、ゆっくり訪れるのは初めて。天気も良く、穏やかな一日を過ごすことが出来ました。“忙中閑あり”という感じでお庭や植栽、野鳥の姿などをゆっくりと楽しみました。

コガモ(※日本で最も小さな鴨)2019.2.4 岡山市後楽園園内の池にて撮影

★ なかよし情報190222「親愛の情に満ちた世界へ」★

日韓関係、米中関係、英のEU離脱、南米やアフリカの政情不安など、世界中が不安定な状況になっています。「自分は正しい」「相手が悪い」などを主張し合い、対立や反目を繰り返しています。もっと話し合って、仲良く暮らしていけないものでしょうか。

私はデンマークを毎年のように訪れて、その高い幸福度を学んでいます。デンマークの人たちはどうして幸福度の高い国を築くことが出来たのでしょうか。九州と同じくらいの面積しかなく、資源にも乏しい小国が幸福度では最も進んだ国になったのは何故でしょう?

それは彼らが民主主義を正しく理解しているからだと思います。意見の違いを乗り越える話し合う能力が高いからです。「みんなが良くなるために」を前提にして意見を交わし、どこが一致できるかを探り、妥協や折衷を重ねる中で、対立ではなく協力という形を引き出していけるからではないかと思います。

日本では民主主義というと「議会制民主主義」=「多数決による決定」と理解され、政治は数の力で支配されています。一方、デンマークでは「多数決は多数派の独裁に繋がる」という考え方でとことん話し合うことが行われています。そのためには妥協や折衷は当然のことです。

自らの主張を多数決で押し通すことで、少数派の意見の中にある優れた意見や視点が排除され、折角の知恵の寄る機会を損なっています。民主主義は時間と手間がかかります。現代社会は時間と手間を減らす効率化の方向を指向していますが、民主主義はそういう点では真逆のシステムかもしれません。

しかし、「みんなが良くなるために」を前提に考えるならば、丁寧に時間をかけて話し合わなければ、そのようなことが実現していかないのではないでしょうか。「みんなが良くなる」なんて考えられないという人も多いかも知れませんが、少なくともその方向でものごとを考え、実践していくことが21世紀を生きる私たちの態度ではないかと思います。

20世紀は二つの大きな戦争(対立)を経験し、世界中で1000万人を超える犠牲者を出しました。その深い反省に基づいて、対立を防ぎ、協力を導く思想やシステムが生まれました。「みんなが良くなるために」もっと知恵と心を寄せて進んでいけば、必ず親愛の情に満ちた素晴らしい世界になると確信しています。

自分の出来るところから、まずは自分から対立や反目の無い生き方に取り組んでいきたいと思っています。焦らずにしかし着実に進んで参りましょう。