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  3. 20130104号 タイトル:『誰か』があなたを待っている

雪のお正月を迎えました。真っ白な雪のおかげで、身の引き締まる思いで元旦を迎え ることが出来ました。今年もよろしくお願い致します。

元旦から早速雪の天拝山に登ってきました。その寒さの中を、山頂の天拝神社にも多 くの初詣の人々がお参りしていました。この神社には天拝山に登る度にお参りしているのですが、元旦はいつも特別な思い手を合わせます。『この世の中が平和で幸せになりますように!』と祈りました。

とは言え、早く春が来ないかなあと思う今日この頃です。


★白い雪に映える紅いフユイチゴの実 天拝山 石楠花谷にて 1月1日 9:30頃撮影



昨年8月、NHKのETVの「100分de名著」という番組で、ヴィクトール・エミル・フランクル著の「夜と霧」が取り上げられて4回にわたって放送されました。第二次世界大戦時にナチスの強制収容所に収容されたフランクルが自らの過酷な体験を綴った書として世界的に広く、長く読み継がれています。

私は学生時代にこの書に触れたことがあります。しかし、巻末に収録してあるナチスの残虐な写真を見て、それ以上読み進むことができませんでした。それは事実と向き合おうとする勇気が無かったからです。あるいは、それは遠い昔のこと、遠いヨーロッパでの出来事のように他人事にしていたからかもしれません。

私の記憶の中に埋もれていたこの書が、四十数年後にこのテレビ番組のおかげで再び 蘇りました。そして、その中に含まれている大きな意味、フランクルが私たちに伝えたかったことを知ることが出来ました。今を生きる私にとって、大切な視点を得ることができました。何十年もの時間を超えて、フランクルの声を聴くことができたことを嬉しく思いました。

今回のなかよし情報は、この「夜と霧」の中から私にとって大きな示唆を与えてくれた文章の紹介と、この書を紹介した番組のテキストに記載された文章を紹介したいと思います。今年一年を生きる上でも、これらの言葉を意識しながら生きていければと思っています。



すなわち愛は結局人間の実存が高く翔り得る最後のものであり、最高のものであるという真理である。私は今や、人間の詩と思想とそして―信仰とが表現すべき究極の極みであるものの意味を把握したのであった。愛による、そして愛の中の被造物の救い―これである。たとえもはやこの地上に何も残っていなくても、人間は―瞬間でもあれ―愛する人間の像に心の底深く身を捧げることによって浄福になり得るのだということが私に判ったのである。(※「夜と霧」みすず書房刊 123ページ)
人が感情の鈍磨を克服し刺戟性を抑圧し得ること、また精神的自由、すなわち環境への自我の自由な態度は、この一見絶対的な強制状態の下においても、外的にも内的にも存し続けたということを示す英雄的な事例は少なくないのである。(※「夜と霧」みすず書房刊 124ページ)
苦悩という情緒は、われわれがそれに関して明晰判明な表象をつくるや否や消失してしまうのである。(「エチカ」スピノザ著より)(※「夜と霧」みすず書房刊 178ページ)
フランクルの思想(ロゴセラピー:ロゴス(意味)によるセラピー(癒し))のエッセンスより(NHKテレビテキスト「100de名著」 NHK出版32p-33p)
どんな時も、人生には意味がある。なすべきこと、満たすべき意味が与えられている。この人生のどこかに、あなたを必要とする「何か」がある。あなたを必要とする「誰か」がいる。そしてその「何か」や「誰か」は、あなたに発見され実現されるのを「待って」いる「何か」があなたを待っている。「誰か」があなたを待っている。

私たちは、常にこの「何か」「誰か」によって必要とされ「待たれている」存在なのだ。だから、たとえ今がどんなに苦しくても、あなたはすべてを投げ出す必要はない。あなたがすべてを投げ出しさえしなければ、いつの日か、人生に「YES」と言うことの出来る日が必ずやってくるから。

いや、たとえあなたが人生に「YES」と言えなくても、人生のほうからあたなに「YES」と光を差し込んでくる日が、いつか、必ずやってくるから。
引用文献

1)夜と霧〜ドイツ強制収容所の体験記録
 ヴィクトール・エミル・フランクル著 霜山徳爾 訳 みすず書房

2)100分de名著 フランクル 夜と霧  
 NHKテレビテキスト NHK出版 2012年8月発行

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