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  3. 20150928号 タイトル:「戦争絶滅受合法の提案」

昨夜は中秋の名月でした。私の住んでいる筑紫野市では毎年、お月見の宴が天拝山の麓にある公園で開催されます。私は打上げ花火を自宅のベ ランダから眺めて楽しみました。 もうすぐ10月ですね。今年もあと3ヶ月になりました。 いかがお過ごしで しょ うか?

露草の花が道端のそこかしこに咲いています。いつもの見慣れた風景ですが、足を止めて、露草たちの表情などをじっと見ていると、実に様々です。カメラを構える私にそれぞれの花が「私を撮ってちょうだい」と言っているようにも思えます。ということで、撮影した一枚がこの写真です。


★天拝山麓にて ツユクサ(露草)たち 2015.9.21撮影

戦争絶滅受合法の提案

11月15日から8日間デンマークに希望者の皆さんと研修に行ってきます。 今回で10回目の渡航ですが、毎回デンマーク関連の書籍などでデンマーク のことを事前学習しています。今回の事前学習でとても参考になる資料を発 見しましたので皆さんに紹介したいと思います。

それは、長谷川如是閑(はぜがわ・にょぜかん)という大正デモクラシー時期 の日本の論客が、デンマークを訪問した際にデンマークのホルムという軍人 が自らの経験を踏まえて、戦争を無くすための面白い法律「戦争絶滅受合法 案」を考え、諸国にその提案をしていることを紹介しています。

その法案の内容がとても面白く、最近の国会で成立した安保法案にもこの条 項を追加で盛り込んでもらいたいと思いました。この法案は1929年に考案 されたので、94年も前のことですが、今日でも是非実現してもらいたい内容 です。ではその長谷川氏の文章を紹介しましょう。


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「戦争絶滅受合法案」(長谷川如是閑) 1929.1.1

世界戦争が終おわってまだ十年経か経たたぬに、再ふたたび世界は戦争の 危険に脅かされ、やれ軍縮条約の不戦条約のと、嘘の皮で張太鼓を叩き廻 っても、既に前触れ小競合いは大国、小国の間に盛んに行なわれている有 様まで、世界広しと雖えども、この危険から超然たる国は何処にある?その 火の手の風上にあるのはデンマーク位なものだろうということである。

そのデンマークでは、だから常備軍などという、廃刀令以前の日本武士の尻 みたようなものは全く不必要だというので、常備軍廃止案が時々議会に提出 されるが、常備軍のない国家は、大小を忘れた武士のように間のぬけた恰好 だとでもいうのか、まだ丸腰になりきらない。

然るに気の早いデンマークの江戸ッ子であるところの、フリッツ・ホルムという コペンハーゲン在住の陸軍大将が、この頃「戦争を絶滅させること受合いの 法律案」というものを起草して、これを各国に配布した。何処の国でもこの法 律を採用してこれを励行したら、どうしたって戦争は起らないことを、保証する と大将は力んでいるから、どんな法律かと思えば、次のような条文である。

戦争行為の開始後又または宣戦布告の効力の生じたる後、10時間以内 に次の処置をとるべきこと。即ち以下の各項に該当する者を最下級の兵卒 として召集し、出来るだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦 に従わしむべし。
1.国家元首。但し、君主、大統領を問とわず。尤もっとも男子たること。
2.国家の元首の男性の親族にして16歳に達せる者。
3.総理大臣、及び各国務大臣、并びに次官。
4.国民によって選出されたる男性代議士。但し戦争に反対の投票した者を除く。
5.キリスト教又は他の寺院の僧正、管長、其他の高僧にして戦争に公然と反対
せざりし者。

上記の 有資格者は戦争の継続中、兵卒として召集さるべきものにして、本人の 年齢、健康状態等を斟酌すべからず。 但し 健康状態に就いては召集後、軍医 官検査を受けしむべし。

上記の有資格者の妻、娘、姉妹等らは戦争継続中、看護婦又は使役婦として召 集し、 最も 砲火に接近したる 野戦病院に 勤務せしむべし。
                     (創案:フリッツ・ホルム)

これは確かに名案だが、各国をして此の法律案を採用せしめるためには、もう一 つホルム大将に、「戦争を絶滅させること受合の法律を採用させること受合の法 律案」を起草して貰もらわねばならぬ。

                       (長谷川如是閑)

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さて、皆さんは長谷川如是閑さんが100年前に共感し紹介したホルム大将の法 案にはどう思われますか?

戦争開始を決めるのは最前線にいる兵隊ではありません。一番安全な場所にい る政治家や軍幹部です。犠牲になるのは最前線の兵隊であり、その家族であり、 庶民なのです。この法案は、戦争を決定するもの、それに賛成したものこそ最前 線で闘うべきであるとしています。

戦争を決定する政治家や軍幹部が、自分や自分の家族を犠牲にしても戦うほど の覚悟を持った上で戦争を決定していないという事実を十分踏まえての皮肉に満 ちた法案なのです。自分たちは安全なところにいて、死や飢餓には見舞われない ということが前提で彼らは戦争を決定しています。

日本人300万人を死に追いやった日本の軍幹部や戦争賛成の政治家の多くは 戦後も生き延びました。さらには元戦犯の或る人物は、何とその後首相にまでな りました。結局は私たち庶民(国民の大半)が戦争では犠牲になるものです。

ホルツ大将の法案や長谷川氏の意見は、戦争の実態を世に訴えるものとして今 の時代でも生きています。今回の安保法案に賛成した政治家やその関係者の皆 さんはホルツ大将の提案を受け入れる覚悟はあるのでしょうか?一人ひとり尋ね てみたいものです。

私は“戦争をしない!”という覚悟と勇気は持ちたいと思っています。いつまでも支え合い、 どこまでも話し合い、誰とでも尊重し合いながら共に生きていこうという覚悟と勇気を持っ て生きていきたいと思います。

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教育文化研究所
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