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  3. 20130221号 タイトル:父の愛

“鬼の霍乱(かくらん)”というか、喉に炎症を起こしてしまいました。風邪ではなく、喉の奥が赤く腫れて熱が出て、一昨日は一日臥せっていました。こういう時は、健康の有難さをしみじみと感じます。一日も早く復調して、いつも通りの暮らしを取り戻したいものです。

先日、天拝山に登りにいったときに武蔵寺山門のそばの梅が随分と綻んでいました。 梅の花を見ると、“東風吹かば におい起こせよ梅の花 主無しとて春な忘れそ”という菅原道真公の歌を思い出しますが、まさしく天拝山はその道真公の所縁の地でも あります。1100年も前に読まれたにもかかわらず、今でも多くの人に親しまれているのは、悲劇の人としての道真公への思慕の念からかもしれません。


★2月16日(土)午前9時ごろ撮影   武蔵寺(筑紫野市)山門近くにて撮影

梅の花は今年も春を忘れずに花を咲かせてくれましたよ。もうすぐ春ですね。



春日市にあるふれあい文化センターで毎月第4火曜日午前中にNPO団体「えがおの 会」の主催で「コミュニケーション広場」が開催されています。この場はもともと春日市社会教育課主催で開催されていた「お母さんの居場所」、その後「コミュニケーション考座」として続けられていた場所です。

市の主催の講座が終了後も、受講生の有志の皆さんが立ち上げたNPOによって続け られています。私も講師として6年前から伺って、皆さんと一緒に人と人がどうしたら仲良くなれるのか、どのようなコミュニケーションが“なかよし”を実現するのかを考えています。

先月の「コミュニケーション広場」で、参加されたHさんからこのような話が出されました。お正月に実家に里帰りをされたHさんは、久しぶりに自分の子どもの頃のアルバムをひろげたそうです。今は亡き写真好きなお父さんが撮ってくればものです。今までに何度も見ていた写真ですが、今回はその写真の自然な表情にしみじみと見入ってしまったそうです。その写真から、自分がお父さんに大切に育ててもらったんだなあと思えたそうでした。

そのように思えたのは、私が一昨年に出版した「なかよし読本」の中に、「父の愛」という文章を読み、同じ写真好きのご自分の父親と重なり、帰郷した際に久しく開いていなかったアルバムをひろげてみたのだそうです。

私のその短いエッセイを今回の「なかよし情報」に抜粋してみようと思います。拙文ですがお読み頂ければ幸いです。



『父の愛』 (2007年11月8日執筆)
 ※自著「なかよし読本(28−29ページ掲載)」

父が亡くなってから二十年近くになります。父からはよく叱られました。大学生の時に学徒出陣で北支(満州)へ兵隊として召集され、なんとか生き残って帰国しました。父から戦争の話を聴くたびに、絶対に戦争をしてはいけないと思ったものです。軍隊での厳しい暮らしを経験した父は、叱るときには口よりも手が先に出ていました。そんな父でしたので、子どもの頃は怖い存在でした。

先日、実家に帰った時、時間がたっぷりあったので、子どもの頃のアルバムを久しぶりに開いてみました。幼いときの白黒写真が少しセピア色に変色しながら、たくさん貼ってあります。どれも父が撮影したものです。写真好きの父は現像の道具も持っていて、撮影した写真は自分で現像していました。


★幼い私はまだ言葉もよく分からない妹に一体何の話をしているのでしょうね。
撮影:長阿彌忠彦(父)

私は5歳くらい。横にいるのは1歳くらいの妹です。場所は門司港の山城屋デパート5階の食堂です。私たちの前には、出来立てのホットケーキが置いてあります。ホットケーキの上のバターがとろけて始めています。

私は嬉しそうに、握ったフォークを振りながら何か妹に話かけています。妹は私の方を見て、私の話を聴いている様子です。一体、何を話していたのでしょうね。見ていると楽しくなってきます。父はそんな私たちの一瞬の様子を撮影していたのです。

私も写真が好きでたくさん写真を撮りますが、父のような写真は少ないです。父の写真はカメラの存在を感じさせない自然さがあります。目で見ているような感覚です。この写真からは私たち兄妹への父の愛情に満ちた眼差しを感じます。優しい気持ちを感じずにはおられません。

この写真は今までに何度も見てきましたが、今回初めてこの写真のこちら側にいた父の姿を意識出来ました。この写真を撮影したときの父は三十代の前半の若さのままで時間が止まっています。それを見ている私は年を重ねてもう五十代の後半。年をとることで、今まで感じられなかったものが感じられるようになったということなのでしょうか。

今日11月8日は私の誕生日。58歳になりました。誕生日にこの私に生を与えてくれた父のことを想うというのも、いいものだなあと思いました。

教育文化研究所
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